○長岡市子ども・若者の権利条例

令和7年3月27日

条例第26号

子ども・若者のみなさんへ

みなさんは、生まれた時から一人の人間として大切にされる、かけがえのない存在です。私たちは、みなさんが安心して暮らし、夢と希望に向かって進むことができるまちを、一緒につくりたいと願っています。みなさん一人ひとりの思いを尊重し、健やかに成長できる環境を協力してつくり上げていきます。長岡市はみなさんの声に耳を傾け、一緒に歩んでいきます。

この条例は、子ども・若者のみなさんに向けた宣言です。

子ども・若者は、生まれながらに一人の人間として、この社会を生きる権利の主体です。そして、すべての子ども・若者は、愛され、尊重されて育まれ、その可能性を最大限に伸ばす権利を持っています。

一方で、子ども・若者は、自分の思いを表現できずに生きづらさを抱えていることがあります。しかし、社会の一員として意見を述べ、自己を表現する権利を持っています。社会全体が寛容さと温かみを持ち、その声に耳を傾け、思いを尊重することで、子ども・若者はのびのびと、夢や希望に向かって力強く歩み出すことができるでしょう。

米百俵の精神が息づく市民協働のまち長岡は、児童の権利に関する条約等の理念を具現化し、みんなで力を合わせ、子ども・若者の育ちを支えるために、この条例を制定します。本条例は、子ども・若者の権利を尊重し、保障することで誰一人取り残されることなく、自分らしく健やかに成長することを目指します。

(目的)

第1条 この条例は、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)の理念に基づき、現在及び将来にわたって、次代を担う子ども・若者が誰一人取り残されることなく、自らの将来に夢と希望を持って心身ともに健やかな成長を続け、幸せな生活を送ることができるよう、子ども・若者の権利を尊重し、保障することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 子ども 18歳未満の全ての者をいう。

(2) 若者 18歳からおおむね30歳代までの者をいう。

(3) 保護者 親又は親に代わり養育する者をいう。

(4) 事業者 市内で事業その他の活動をする法人その他の団体をいう。

(5) 市民 次のいずれかに該当する者をいう。

 市内に居住する個人

 市内に通勤又は通学する個人

 事業者

(6) 育ち学ぶ施設 保育所、認定こども園、学校その他子ども・若者が育ち、学び、又は活動するために利用する施設等の関係者をいう。

(基本理念)

第3条 子ども・若者の権利の保障は、次に定める考え方を基本理念とする。

(1) 子ども・若者は、生まれながらにして一人の人間であり、権利の主体として尊重され、最善の利益が優先される。

(2) 子ども・若者は、その命が守られ、幸せな生活を送ることができ、安心して成長することができる。

(3) 子ども・若者は、その個性や多様性が尊重されるとともに、現在及び将来にわたり、あらゆる差別を受けることなく、自分らしく生きることができる。

(4) 子ども・若者は、自由に意見を表明することや社会参画の機会が保障される。

(子ども・若者の権利)

第4条 子ども・若者は、次に掲げる権利を有し、その権利は、現在及び将来にわたって保障される。また、子ども・若者は、自らが権利の主体者であることを自覚し、自分自身以外の権利も等しく尊重する。

(1) プライバシー及び名誉が尊重される権利

(2) 愛情と理解をもって育まれる権利

(3) 家庭環境、経済的な状況、社会的身分、障害の有無、年齢、性別、国籍等による差別的取扱いや身体的・精神的な暴力から守られ、安全・安心に過ごす権利

(4) 自分の意見、気持ちを表明し、尊重される権利

(5) 様々な社会活動に参加できる権利

(6) 悩んでいること、困っていること等を相談し、必要な支援を受けることができる権利

(7) 学び、遊ぶこと及びスポーツや文化・芸術にふれ親しむ権利

(8) 一人ひとりに応じた学ぶ機会が保障される権利

(9) 自らの成長のために、つまずいてもいつでも何度でも挑戦できる権利

(保護者の役割)

第5条 保護者は、子育てについて第一の責任者であり、家庭が子どもの健やかな成長のためになくてはならない大切な場であることを自覚し、基本理念にのっとり、次に掲げる役割を果たすことで子ども・若者の権利を保障するよう努める。

(1) 子ども・若者の生命と尊厳を守るため、愛情と寛容さをもって養育すること。

(2) 子ども・若者の最善の利益を第一に考え、その考えや気持ちを受け止め、寄り添いながら、心身の発達に応じた教育や支援を行うこと。

(3) 子ども・若者が安心して過ごし、成長できる生活環境を確保すること。また、それらに必要な支援を要請すること。

(4) 子ども・若者の権利が侵害され、又は侵害されるおそれがあるときは、相談及び救済を求めること。

(市の役割)

第6条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる役割によって、子ども・若者の権利を保障する。

(1) 保護者、育ち学ぶ施設、市民、国、県その他関係機関と連携し、子ども・若者の権利を保障するために、相談、救済及び切れ目のない支援を行う体制の構築を図り、支援や施策を行うこと。

(2) 保護者、育ち学ぶ施設及び市民に対し、これらの者が子ども・若者の権利を保障する役割を果たすために必要な支援を行うとともに、市、保護者、育ち学ぶ施設及び市民が相互に協力し、社会全体で支える体制の構築を図ること。

(3) 子ども・若者を社会の一員として尊重し、意見の表明及び社会参画が可能な環境と機会の充実を図ること。

(育ち学ぶ施設の役割)

第7条 育ち学ぶ施設は、その施設において、基本理念にのっとり、次に掲げる役割によって、子ども・若者の権利を保障する。

(1) 子ども・若者自らが権利の主体であることを理解するよう努めること。

(2) 子ども・若者が生きる力を身に付け、能力や可能性を最大限に伸ばすことができるよう、寛容さをもって、保護者、市及び市民と協力し合いながら支援を行うこと。

(市民の役割)

第8条 市民は、基本理念にのっとり、次に掲げる役割によって、子ども・若者の権利の保障に努める。

(1) 子ども・若者の健やかな成長のために、子ども・若者を社会の一員として尊重するとともに、保護者、市及び育ち学ぶ施設と連携しながら、その支援を行うこと。

(2) 子ども・若者の生命と尊厳を守るため、安全・安心な地域づくりを行うこと。

(3) 事業者は、雇用する労働者に対し、仕事と子育てが両立できるような環境づくりを行うこと。

(議会の役割)

第9条 議会は、基本理念にのっとり、次に掲げる役割によって、子ども・若者の権利を保障する。

(1) 議会活動を通じて、子ども・若者の権利に関する市の施策が基本理念に沿って推進されるよう、確認、提言等に努めること。

(2) 子ども・若者の権利を尊重し、保障するため、必要に応じて国や県に働きかけること。

(3) 子ども・若者を社会の一員として尊重し、意見の表明及び社会参画の環境と機会の充実を図ること。

(権利を守るための取組)

第10条 市、育ち学ぶ施設及び市民は、子ども・若者の権利についての理解を深めるための周知、啓発及び教育を図るよう努めるものとする。

2 差別、いじめ、虐待、体罰等は重大な権利侵害であると強く認識し、保護者、市、育ち学ぶ施設及び市民は、その予防及び早期発見に努めるものとする。

この条例は、令和7年4月1日から施行する。

長岡市子ども・若者の権利条例

令和7年3月27日 条例第26号

(令和7年4月1日施行)